特集 細胞核―構造と機能
6.核内受容体
エストロゲン受容体βを介した多彩な転写制御機構
仲島 由佳
1
,
山口 智絵
1
,
石川 寛子
1
,
柳澤 純
1
Yuka Nakajima
1
,
Chie Yamaguchi
1
,
Hiroko Ishikawa
1
,
Junn Yanagisawa
1
1筑波大学大学院 生命環境研究科
pp.482-483
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101219
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ステロイドホルモンであるエストロゲン(17β-estradiol)は女性や男性の生殖系の発達に関与しており,脳神経,血管,脂質・骨代謝などにおいて生理作用を及ぼしている。また,乳癌や前立腺癌の進展にも深く関与している。エストロゲンの様々な生理作用は核内受容体の一つであるエストロゲン受容体(estrogen receptor;ER)を介して引き起こされる。近年,以前より知られていたエストロゲン受容体α(ERα)に加えて,エストロゲン受容体β(ERβ)が新たに発見された。ERβはリガンド依存的に特異的なDNA配列に結合し,標的遺伝子の転写制御を行うことが知られている(classical pathway)。この典型的なERβを介した転写制御経路の他に,DNAへの直接結合を介さないERβによる転写制御経路(non-classical pathway)が報告されている。本稿では,第二のエストロゲン受容体であるERβのclassical pathway,ならびにnon-classical pathwayを介した転写制御機構を紹介する。
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