増大特集 細胞表面受容体
●構造的特徴:7回膜貫通型◆受容体の遺伝子:GCGR
グルカゴン受容体とグルコースによる発現調節―転写因子ChREBPを介した経路
飯塚 勝美
1
,
武田 純
2
Iizuka Katsumi
1
,
Takeda Jun
2
1岐阜大学医学部附属病院 生体支援センター 糖尿病代謝内科
2岐阜大学医学部附属病院 糖尿病代謝内科
pp.406-407
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101488
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グルカゴンは膵α細胞から分泌されるペプチドホルモンであり,糖新生やグリコーゲン分解の促進,脂肪細胞での脂肪分解といった絶食時における血糖維持作用が知られている。それ以外にも消化管蠕動運動の抑制作用,熱産生の亢進作用,食欲抑制作用などが挙げられる。
健常人では血中のグルカゴン濃度は空腹や低血糖時に高く,摂食による血糖上昇と共に速やかに低下する。一方,糖尿病になるとインスリン分泌が低下して血糖値が上昇しているにもかかわらず,グルカゴン分泌は抑制されておらず,奇異性分泌は食後血糖の上昇にも関与する1)。したがって,グルカゴン分泌およびグルカゴン作用を低下させることは糖尿病患者の血糖値を低下させるのに合理的な治療法であろう。実際,臨床で汎用されているインクレチン薬の作用には,グルカゴン分泌抑制がある。また,代表的な糖尿病治療薬であるメトホルミンはインクレチン分泌増強に加えて,肝臓におけるグルカゴン受容体経路を抑制し,空腹時血糖を低下させる作用が最近明らかにされた2)。したがって,グルカゴン受容体経路の解明は糖尿病の病態解明だけでなく,拮抗薬の開発も含めて創薬の観点からも重要である。
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