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エストロゲン受容体
落合 和徳
1
1東京慈恵会医科大学産婦人科
pp.221
発行日 1995年10月30日
Published Date 1995/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902717
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エストロゲンは卵巣から分泌される女性ホルモンの1つで,標的器官の細胞増殖,分化,機能調節に働いている.エストロゲン作用は,エストロゲンレセプター(ER)を介して発現するが,ERの存在は子宮(内膜,筋層),腟,卵管,卵巣,乳腺などの女性生殖器官,およびエストロゲンのフィードバックシステムを持つ視床下部,脳下垂体前葉,さらには肝,腎,膵,胸腺,骨,睾丸などでも証明されている.
ERは,古典的Jensenモデルでは,リガンド非結合型ERが細胞質に存在し,リガンドと結合することにより結合型ERが核内に移行すると考えられていた.しかし,モノクローナル抗体を用いた研究や脱核法などによる研究から,ERはリガンド結合の有無にかかわらず核内に局在することが明らかとなった.ERは他のステロイドホルモン,サイロイドホルモン,レチノイン酸のレセプターとともに共通の構造を持ち,核内レセプターと呼ばれるファミリーを形成している.これらはリガンド結合依存性の転写制御因子であり,標的遺伝子の転写制御領域にあるエストロゲン応答性エレメント(estrogenresponsive element)に結合し,その遺伝子の転写を直接コントロールすることによって働いている.ERの測定には従来からdextran coated charcoal法(DCC法)やショ糖密度勾配法(SDG法)などが用いられてきた.
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