特集 細胞核―構造と機能
4.核小体
リボソームRNA遺伝子の安定性と細胞老化
小林 武彦
1
Takehiko Kobayashi
1
1国立遺伝学研究所 細胞遺伝研究部門
pp.416-417
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101192
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リボソームRNA遺伝子(rDNA)は核小体に存在する反復遺伝子で,リボソームのタンパク質合成を触媒するRNA分子をコードしている。リボソームは細胞中で最多のタンパク質-RNA複合体であり,そのためrDNAも1コピーでは足りず,真核細胞では100コピー以上が染色体上に巨大な反復遺伝子群を形成している。通常このような反復配列はリピート間で組換えを起こし,コピーが脱落してしまうが,rDNAにはそれを最小限に食い止める「サイレンシング」機構と,コピーが減少したときに元に戻す「遺伝子増幅」機構がコピー数を一定量に維持している。しかし,それでも恒常的にコピー数の増減を繰り返すゲノム中で最も不安定な領域である。本稿ではこのようなユニークな性格を持つrDNAの細胞機能に与える影響を概説する。
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