特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官
1.リボソーム
リボソームRNA合成制御を介した細胞機能調節機構
村山 明子
1
Akiko Murayama
1
1筑波大学大学院 生命環境科学研究科
pp.358-359
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101313
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●エピジェネティクス機構によるrRNA転写制御
リボソーム合成における律速反応は核小体におけるrRNA遺伝子発現である。真核細胞のrRNA遺伝子はRNAポリメラーゼⅠによって転写され,細胞あたり約400コピー存在し,5本の染色体(ヒトでは13-15番,20番,21番染色体)の上にタンデムな繰返し配列を形成するクラスターとなって存在している。約400個のrRNA遺伝子は転写されているrRNA遺伝子と転写されていないrRNA遺伝子に分かれる。したがって,rRNA遺伝子発現はrRNA遺伝子プロモーターに作用する転写因子による制御のほかに,転写されているrRNA遺伝子の割合を調節するエピジェネティックな制御を受けている。
rRNA遺伝子発現をエピジェネティクスに制御する因子としてNoRC(nucleolar remodeling complex)が報告されている。NoRCはSNF2h-containing chromatin remodeling complexで,rRNA遺伝子プロモーターにDNAメチル化酵素であるDNMTやヒストン脱アセチル化酵素HDACをリクルートすることによって,DNAメチル化やヒストンH3K9の脱アセチル化・メチル化を促進し,rRNA転写を抑制している1)。しかしながら,NoRCによるrRNA転写制御の意義についてはまだ明らかになっていない。
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