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Small subunit processome(SSU processome)はリボソーム小サブユニットの形成にたずさわる約2.2 MDa(沈降係数約80S)の巨大な粒子である。この粒子にはrDNAの転写,rRNA前駆体のプロセッシング,18S rRNA前駆体へのリボソームタンパク質の集合,リボソーム小サブユニットの成熟などに関与する因子が含まれている。酵母では少なくとも72種類のタンパク質がSSU processomeから単離されている。個々のタンパク質の機能については多くが未知であるが,そのアミノ酸配列から,RNA結合モチーフを持つもの,protein-protein interaction(PPI)モチーフを持つものなどが同定されている。また,エンドヌクレアーゼやRNAヘリカーゼであることが類推できるもの,ATPaseやGTPase,キナーゼなど,他の機能性タンパク質の活性を制御すると考えられるタンパク質なども含まれている1)。これまでにSSU processomeの六つの部分複合体(subcomplex)が同定されている。それぞれU3 snoRNP,Mpp10 subcomplex,Rcl1/Bms1 subcomplex,t-Utps/UtpA,UtpB,UtpCと名付けられ,構成成分や機能について解析が進められている1)。後者三つの部分複合体の名前にある“Utp”はU three proteinsに由来する。これらはU3 snoRNAおよびそのコアタンパク質と一緒に精製されてきたタンパク質の総称で,t-Utps/UtpA,UtpB,UtpC各々の部分複合体には異なる種類のUtpタンパク質が含まれている。
U3 snoRNPはU3 snoRNAとNop1/フィブリラリン(fibrillarin),Nop56,Nop58,Snu13/15.5K,Rrp9/U3-55Kからなる複合体である。U3 snoRNAがrRNA前駆体の5'ETSや18S rRNA内部と部分的に塩基対を形成することによって,rRNA前駆体が適切に折りたたまれ,そのプロセッシングが進む。このようにU3 snoRNAのRNAシャペロンとしての分子機能が提唱されており,多岐にわたる解析の結果はそのことを支持している。
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