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特集 miRNA研究の最近の進歩
植物におけるmiRNAの生合成経路
Biology of miRNA and other small PNAs in plants
渡辺 雄一郎
1
Yuichiro Watanabe
1
1東京大学大学院 総合文化研究科 生命環境科学系
pp.349-354
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101009
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最初,簡単に生命の歴史を語ることをお許しいただきたい。46億年前に誕生した地球上に,物質の化学進化を受けて,38億年前ごろに最初の生物が現れたと想像されている。しばらくして光合成を行うシアノバクテリアが現れ,大気にあった二酸化炭素を同化し始め,酸素を放出し始めた。有機物も増加した。以後20-30億年ほどかけて,現在のような酸化的大気が生まれた。途中,原始真核生物の一部にシアノバクテリアが共生を始めた系統として植物がうまれ,光合成をする生物がさらに地球上に広がった。植物と動物の分岐は,約15億年前水中での単細胞時代,有性生殖を始めた後である(図1)。酸素の蓄積は,大気の外回りに自然の紫外線バリアとなるオゾン層を作り出した。そのおかげでようやく5-6億年前に植物,つづいて動物が陸上にあがった。
今回の特集で話題となっているsiRNA,miRNAの生成機構,あるいはその作用機作の起源は,その共通性から前者の起源は原始真核生物,後者の起源は植物と動物の分岐近くまでさかのぼるものと考えられる(図1)1)。
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