Japanese
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特集 miRNA研究の最近の進歩
RNA干渉を利用した創薬の現状
RNAi-based therapeutics:current status
篠原 史一
1
,
吉田 哲郎
2
Fumikazu Shinohara
1
,
Tetsuo Yoshida
2
1協和発酵キリン株式会社 探索研究所
2協和発酵キリン株式会社 次世代創薬研究所
pp.343-348
発行日 2010年8月15日
Published Date 2010/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101008
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RNA干渉(RNAi)は,標的mRNAを特異的に切断可能な転写後遺伝子サイレンシング機構であり,RNAウイルス感染防御を目的とした,真核生物の生体防御機構の一つである。このRNA干渉は,1990年代初めに植物(ペチュニア)で確認され,1998年には動物である線虫でも存在することをMelloとFireが報告し,この発見により二人はノーベル医学生理学賞を2006年に受賞している。RNAiは発見からわずか10年あまりの間に広く浸透し,今や遺伝子機能を解明する上で必須のリサーチツールとなっている。その上,低分子や抗体と比較して効率よく低コストに医薬品開発が可能なポテンシャルを秘めていること,また治療薬開発が難しいとされる転写因子やアダプタータンパク質といったいわゆるアンドラッガブルな遺伝子をも標的とし得ることから,新しい創薬技術基盤としても注目され,すでにいくつかのsiRNA医薬が臨床試験入りしている。一方で,まだsiRNAを医薬品とするためにはデリバリーや免疫刺激性といった解決すべき課題が残っている。本稿では,その課題解決に向けた取り組みにも触れながら「RNA干渉を利用した創薬の現状」を概説する。
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