特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008
2.分子生物・遺伝学・遺伝子工学
miRNA(microRNA)
武藤 裕
1
Yutaka Muto
1
1理化学研究所横浜研究所生命分子システム基盤研究領域
pp.378-379
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100522
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●miRNA(micro RNA)とは
miRNAは機能性non-coding RNAの中のひとつの分子群で,内在的に存在する22残基程度の一本鎖RNAである。その発現は時間的あるいは空間的に制御され,発生調節因子やアミノ酸代謝因子のmRNAを標的として結合し,翻訳レベルの抑制を行い,発生や代謝を間接的に制御している。
miRNAはRNAポリメラーゼⅡによってpri-miRNAとして転写された後,まず,核内においてDroshaと呼ばれる二本鎖RNAに特異的なヌクレアーゼによってプロセシングを受け,pre-miRNAというステムーループ構造をもつ70-80残基程度のRNA分子へと変換される。その後,Exportin-5の働きにより,細胞質に運搬されてDicerと呼ばれるヌクレアーゼによって成熟したmiRNA分子へとプロセシングされる。miRNAは標的となるmRNAと蛋白質RNA複合体を形成することにより,標的遺伝子の翻訳抑制を引き起こすが,この複合体はRNA induced silencing complex(RISC)と呼ばれている。成熟したmiRNAを取り込んだRISCは,miRNAの配列に従って標的になるmRNAを認識して結合する1)(図)。
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