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Exosomal miRNA
前原 美樹
1
1東海大学整形外科
pp.1296-1296
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei73_1296
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Exosomal miRNAは,エクソソームと呼ばれる細胞外小胞に内包された分泌型miRNAである.miRNAは標的mRNAに部分相補的に結合し,遺伝子のサイレンシングを誘導することで複数の生化学的経路を制御する非コードRNAであるが,細胞内の標的遺伝子発現の調節だけでなく,分泌型miRNAとして近傍や遠隔細胞の遺伝子発現調節にも関与している.一方,エクソソームとは,あらゆる細胞から放出される,脂質二重膜構造を有する直径100nm前後の細胞外小胞をさす.形成過程で放出細胞に由来する蛋白質,mRNA,miRNA,DNAなどの多様な機能分子を内包することが知られており,細胞外に放出されると液性因子として体内を循環し,近傍および遠方に存在する特定の受容細胞に取り込まれる1).細胞が放出する小胞体については1980年代からすでに観察されていたが2),当時は細胞内の老廃物処理機構に過ぎないと考えられていた.しかし2007年,エクソソームに内包された核酸がほかの細胞へ受け渡されていることが示され3),さらに2010年にはエクソソームに内包されたmiRNAが受容細胞内で機能的に作用する4)との報告がなされた.これらの報告は医学・生物学界に大きな衝撃を与え,以来エクソソームおよびその内容物がもたらすさまざまな生命・生理現象は世界中の多くの研究者を魅了し,研究は年々加速している.
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