綜説
ヘモグロンビンの生合成について—特に蛋白合成の面から
水上 茂樹
,
米山 良昌
1
1東京大学医学部栄養学教室
pp.246-253
発行日 1958年8月15日
Published Date 1958/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425906025
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アヒル・ニワトリなどの有核赤血球やフェニルヒドラジン貧血動物の網赤血球がin vitroでもヘモグロビンを作ることが知られており,ヘム生成の研究に広く用いられている。アヒルの赤血球がin vitroにおいて,N15ヒスチジンをヘモグロンビン中に組み入れることは,すでに1950年にSheminら1)によつて観察されている。しかし,ヘム生成の研究にくらべ,蛋白生成についてはあまり注目されず,研究の数も少ない。
未熟(有核)赤血球におけるヘモグロンビン生成の研究は,臨床医学の問題として貧血と関連して重要であるだけでなく,すなわちヘモグロビンとしてのみ興味があるだけでなく,一般生化学的な面からも,蛋白合成の研究のためにも有用な系と考えられる。その主な利点は高等動物における蛋白合成を「遊離細胞」においてin vitroで追及できること,および配合群を持つた複合蛋白の生成の一つの重要なモデルに用いられることである。このように複合蛋白生成のモデルとしての利点を特に強調する理由は,生体内のヘムやフラビンを持つた酵素が数多く知られているが,そのような酵素の配合群の生成とアポロ蛋白の生成の関係について今まで何も知られていないからである。
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