特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム
7.ミトコンドリア
ミトフシン2 mitofusin 2(MFN2)
早坂 清
1
Kiyoshi Hayasaka
1
1山形大学医学部発達生体防御学講座小児医科学分野
pp.466-468
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100472
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ミトコンドリアについて
ミトコンドリアは数ミクロンの大きさの細胞内小器官で様々な役割を有しているが,特に酸化的リン酸化によるATP産生において重要な役割を果たしている。ミトコンドリアの形態や数は臓器や発達段階および外部環境などにより異なり,個々の細胞には百~数千個存在し,また各ミトコンドリア内には環状DNAが数コピー存在している。近年,ミトコンドリア機能の異常と神経筋疾患,糖尿病などの疾患との関連が明らかにされている。
ミトコンドリアは互いに癒合しては分離を繰り返すダイナミックな小器官である1)。林らによる細胞癒合実験では,導入した変異ミトコンドリアDNA(mtDNA)が細胞内のほかのミトコンドリアに速やかに拡散していくこと,異なる二つの変異mtDNAを導入した細胞では,相補作用により呼吸機能が回復することなどが明らかにされており,ミトコンドリアの癒合と分離が裏付けられている2-4)。一方,ミトコンドリアのダイナミックスはアポトーシスにも関与している。
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