特集 タンパク・遺伝子からみた分子病―新しく解明されたメカニズム
6.核膜
ラミンA/C(LMNA)
林 由起子
1
,
埜中 征哉
2
Yukiko Hayashi
1
,
Ikuya Nonaka
2
1国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第一部
2国立精神・神経センター武蔵病院
pp.462-463
発行日 2005年10月15日
Published Date 2005/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100471
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細胞核の内側は核ラミナとよばれる線維状の網目構造で裏打ちされている。核ラミナは主としてラミンという中間径フィラメントで構成されており,核の形や大きさを決めるとともに,核膜の強化やクロマチンとの結合など,重要な機能を担っているものと考えられている。ラミンにはAタイプ(A,AΔ10,C,C2),とBタイプ(B1,B2,B3)があり,Aタイプラミンはいずれもlamin A/C遺伝子(LMNA)のスプライシングアイソフォームである。LMNAは染色体1q21.2-q21.3に存在し,12エクソンからなる遺伝子である。
LMNAの変異は当初,常染色体優性遺伝形式をとるEmery-Dreifuss型筋ジストロフィー(EDMD)で見出された1)。EDMDは緩徐進行性の筋ジストロフィー,関節拘縮,心伝導障害を伴う心筋症を3主徴とする遺伝性疾患である。EDMDには,同じLMNA変異による常染色体劣性型2)および染色体Xq28に存在するエメリン遺伝子(EMD)の変異によるX染色体劣性型も知られているが,その臨床症状は遺伝形式によらず共通である。エメリンはC端側に一つの膜貫通ドメインを有し,核内膜に存在する蛋白質で,ラミンAと結合しうることが知られている。
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