特集 病気の分子細胞生物学
8.代謝・栄養障害
新生児高ビリルビン血症
赤羽 和博
1
,
早坂 清
1
Kazuhiro Akaba
1
,
Kiyoshi Hayasaka
1
1山形大学医学部小児科
pp.449-450
発行日 1999年10月15日
Published Date 1999/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901759
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[疾患概略]
新生児高ビリルビン血症とは,新生児期に非抱合ビリルビンが蓄積する病態を表す。新生児期には,髄外造血の停止や胎児ヘモグロビンを有する赤血球寿命が短いことによるビリルビン産生の増加,胎盤を介した母体での処理の途絶および肝のビリルビン輸送蛋白(Y-蛋白)やビリルビンUDPグルクロン酸トランスフェラーゼ(B-UGT)の低値などによるビリルビン代謝の低下,腸肝循環の亢進によるビリルビン排泄の低下などにより生理的にも非抱合ビリルビンの蓄積をきたしやすい。生理的範囲内の高非抱合ビリルビン血症を新生児生理的黄疸と表現し,この範囲をこえ治療の対象となりうる高非抱合ビリルビン血症を一般的に新生児高ビリルビン血症と表現する。生理的条件にさらに先天的,後天的な要因によるビリルビンの過剰産生や代謝・排泄障害が加わり,新生児高ビリルビン血症が惹起されるものと思われる。過剰産生を生ずる要因としては,母児間のRh,ABO血液型不適合による溶血,遺伝性溶血疾患,血腫などがあり,代謝・排泄の障害をもたらす要因としては,種々の感染症による肝障害や体質性黄疸などが知られている。
新生児期には血液脳関門が完成されておらず,ビリルビンによる中枢神経系の障害(核黄疸)が問題となり,光線療法や交換輸血などの治療が行われる。
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