ジェネラリストに必要な ご遺体の診断学・33
実践応用編②:高齢者施設での看取りと死因「老衰」の検討
森田 沙斗武
1
1医療法人やまびこ会
pp.1452-1455
発行日 2025年12月15日
Published Date 2025/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350121452
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Case 1
患者:75歳、男性
既往歴:認知症、脳梗塞後遺症
病歴:3年前に脳梗塞を発症しほぼ寝たきり状態。発語は可能だが意思の疎通は困難。
寝たきりになる前は妻と二人暮らしであったが、妻一人では面倒が看られないと老人ホームに入所。全介助で経口摂取していたが、たびたび誤嚥性肺炎を起こし過去に3回入院していた。最終入院時、主治医から胃瘻造設を提案されるも家族は希望せず。今後、急変時には心肺蘇生法を行わない(DNAR)の方針となっていた。
某日、発熱を認めたため解熱薬で対処した。このとき、発熱以外のバイタルサインは確認していなかった。
翌日、解熱するも食欲はなく、食事は数口で終えた。同日午後6時頃、職員が食事のために訪室し声をかけるも反応はなく、朝から元気がなかったことから夕食は中止することとした。午後9時5分、消灯のために巡回した職員が呼吸をしていないことに気づき、主治医に連絡したところ、DNARのため搬送不要との指示があった。家族に施設に来てもらうように連絡し、家族立ち会いのもと、午後9時30分に死亡宣告となった。

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