ジェネラリストに必要な ご遺体の診断学・32
実践応用編①:病院や診療所での看取り
森田 沙斗武
1
1医療法人やまびこ会
pp.1310-1312
発行日 2025年11月15日
Published Date 2025/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350111310
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Case 1
患者:90歳、男性
既往歴:慢性心不全、ペースメーカー埋め込みあり、高血圧症
病歴:妻と2人暮らし。7年前に洞不全症候群でペースメーカー埋め込み術。中等度の心臓弁膜症があり、LVEF 45%程度と心拍出能が低下していた。高齢でもあり、慢性心不全として当院循環器内科の外来で保存的に加療していた。
某日、発熱があり息苦しさから予約外を受診した。胸部X線写真で右下肺野に肺炎像を認め、SpO2 90%(室内気)と低下しているため緊急入院となり、酸素2L/分と抗菌薬の投与が開始された。入院時、急変時には蘇生処置を希望しない意思(DNAR)のを妻と本人に確認していた。
入院3日目から平熱となり、CRPも低下傾向を認め、酸素も中止となった。入院5日目午前9時15分に看護師が訪室した際、配膳した朝食が手つかずの状態で眠っている様子であった。そのため別患者の検温を優先し、午前10時30分に再度訪室したところ、呼吸停止状態であった。主治医にコールするも、DNARの意思を尊重し、救命処置は行わず遺族に連絡。そのまま看取りとなった。

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