ジェネラリストに必要な ご遺体の診断学・31
特別編:「死因推定シート」と「死亡日時推定シート」
森田 沙斗武
1
1医療法人やまびこ会
pp.1207-1211
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350101207
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Case
患者:82歳、女性。一人暮らし
既往歴:脳動脈瘤、慢性心不全、高血圧
脳動脈瘤を指摘されたが「経過観察でよい」と数年前に言われたことがある。
昨年の冬に、肺炎を契機に心不全となり一時期人工呼吸器を装着されたことがあったが、回復した。もともと膝を痛めて杖歩行であったが入院を契機にADLが低下し、一人で外出することが困難となったため、退院後は当院が往診で対応していた。
現病歴:A年B月C日、発熱があるとのことで往診。インフルエンザと新型コロナウイルスの迅速検査を行ったが陰性であった。体温37.7℃のほかはバイタルも問題ないため、解熱薬を処方した。
D日午前10時5分「まだ熱があってしんどい」と娘に電話をしたのが最終生存確認。
翌E日午前8時30分、娘が体調を気にして訪問すると、ベッド上で死亡しているのを発見。午前8時45分に娘から当院に連絡があり、救急要請するように説明した。午前8時49分救急要請、53分救急隊が到着するも心肺停止状態であり、死後硬直を認め不搬送となった。警察による現場検証が行われ、事件性はないと判断。かかりつけ医である当院に往診と検案が依頼された。
死体現象(E日午後3時30分時点、室温25℃):直腸温29℃、死斑は圧迫により一部褪色、死体硬直は全身高度に発現、角膜透明。

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