特集 高齢者「主治医」事典
【多死社会と主治医】
老衰死―老衰死を意識する
今永 光彦
1
1国立病院機構東埼玉病院内科・総合診療科
キーワード:
老衰
,
老衰死
,
多死社会
,
QOL
,
超高齢者
Keyword:
老衰
,
老衰死
,
多死社会
,
QOL
,
超高齢者
pp.865-867
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102999
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Case 1
患者:94歳,女性.
現病歴: 慢性心不全あり,他院に通院していた.1年ほど前までは自立していたが,徐々にADL低下.3カ月ほど前より食欲低下も認めるようになり,さらにADL低下したとのことで,家族に連れられて当院外来受診.最近はほとんど食事がとれず,眠っている時間も長くなっているとのこと.本人とは細かい意思の疎通は困難であったため,家族に意向を聞いたところ,「できれば最期は家で看取りたい.しかし,なにか原因がわかるのであれば,そのほうが気持ちとして自宅でみやすいので,本人がつらくない検査ならしてほしい」とのことであった.本人に負担が少ないという意味で,採血・X線・体幹部CT検査を行ったが,明らかな異常は認めなかった.それ以上の消化管精査などは行わずに「老衰」の経過であることを家族と共有し,訪問診療開始とした.多職種と連携し,介護環境や食形態の調整など行い,一時的には食事摂取量も増加.その後,再度,食事がとれなくなっていき,眠っている時間も長くなっていった.訪問診療開始より3カ月後にご自宅で永眠された.
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