Japanese
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TOPICS 神経内科学
精神展開剤は “ゲームチェンジャー” になるか?
Can psychedelic drugs be a “game changer” ?
内田 裕之
1
Hiroyuki UCHIDA
1
1慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室
pp.523-524
発行日 2025年8月16日
Published Date 2025/8/16
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294060523
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精神展開剤の数奇な歴史
近年,精神展開剤(サイケデリックドラッグ)による精神疾患治療への関心が急速に高まっている.かつて “幻覚剤” とよばれたこれらの物質は,古代より宗教的儀式や癒しの場面で用いられてきた長い歴史を持つ1,2).たとえばメソアメリカのアステカやマヤ文明では,シロシビンを含むキノコ「テオナナカトル(神の肉)」が儀礼的に使用され,霊的体験や神との交感を可能にすると信じられていた.また,古代ギリシャのエレウシス秘儀では,LSDに類似する成分を含むキュケオンという飲み物が用いられていたとする説もある.こうした背景からも,精神展開剤はもともと “異常” を誘発する薬物ではなく,むしろ人間の意識の深層へ働きかけるツールとして機能していたことがわかる.
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