特集 —知ってるつもり? 知らなきゃいけない?—新語・新概念辞典
【新語・新概念(五十音順)】
(気管支喘息の)臨床的寛解
柳生 洋行
1
,
原 悠
1
,
金子 猛
1
1横浜市立大学大学院医学研究科 呼吸器病学
キーワード:
気管支喘息
,
臨床的寛解
,
無治療寛解
,
臨床的治癒
,
機能的治癒
Keyword:
気管支喘息
,
臨床的寛解
,
無治療寛解
,
臨床的治癒
,
機能的治癒
pp.164
発行日 2025年2月15日
Published Date 2025/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218880510350020164
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生物学的製剤に代表される治療薬の進歩により、近年、気管支喘息(以下、喘息)の治療目標は従来の「症状のコントロールと増悪予防」からより高い「臨床的寛解」へと移行してきている1)。2020年に喘息治療中および治療後の臨床的寛解および、完全寛解についてのフレームワークが提案された2)。その後、2023年度には国内外の複数の診療ガイドラインにおいて臨床的寛解が治療目標として定義された。臨床的寛解の定義はガイドラインによって若干異なるが、12カ月以上にわたって喘息症状が消失し、呼吸機能が安定し、増悪がなく安定した状態を維持することを指す(表1)3,4)。非専門医向けの『喘息診療実践ガイドライン2024』3)では呼吸機能検査が難しい場合を想定し、呼吸機能の正常化や安定化は記載されていない。
臨床的寛解を早期に達成することは、肺機能の不可逆的低下などを含む将来リスクの低減につながると期待されている。そのため、臨床的寛解が治療目標であること、すなわち、症状がない状態を長期間維持することの重要性を患者と共有することが重要である。日常診療においては、喘息症状、増悪の有無、治療薬剤(経口ステロイド薬の使用や短時間作用型β刺激薬の使用頻度)、呼吸機能、末梢血好酸球数や呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)などによってコントロール状態を評価する。臨床的寛解が達成できない場合、治療内容の見直しや、吸入アドヒアランスの確認、増悪因子の回避指導などを行いつつ、専門医への紹介を検討する。
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