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特集 エキスパートが教える 小児の薬物治療
Ⅲ.疾患別
I.アレルギー疾患
気管支喘息
Bronchial athma
濵野 翔
1
Sho Hamano
1
1杏林大学医学部小児科学教室
キーワード:
気管支喘息
,
急性増悪
,
長期管理
Keyword:
気管支喘息
,
急性増悪
,
長期管理
pp.772-783
発行日 2023年11月30日
Published Date 2023/11/30
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001336
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1 疾患概念
気管支喘息は気道の慢性炎症を特徴とし,発作性に起こる気道狭窄によって,咳嗽,喘鳴,呼吸困難をくり返す疾患である1)。症状は一過性であっても気道炎症は続いており,慢性の気道炎症と気道過敏性の亢進が基本病態である。ここにさまざまな誘発因子が加わることで,気管支平滑筋の収縮,気道分泌物の増加,気管支粘膜の浮腫による気道狭窄が引き起こされる。一般に気道狭窄には可逆性があり,気管支拡張薬に対して良好な反応性を示すが,気道狭窄をくり返すことで小児喘息においても気道上皮の杯細胞化生,気道の線維化,平滑筋肥厚など不可逆的な気道構築の変化(リモデリング)が惹起されることがある。小児喘息における気道炎症については不明な点が多いが,ダニなどのアレルゲン特異的に活性化される獲得免疫系のヘルパーT細胞や抗原に依存せずに活性化される自然免疫系の2型自然リンパ球がinterleukin(IL)-4,IL-13,IL-5などの2型サイトカインを放出し,2型炎症を引き起こすことが多いとされている。また特異的IgE抗体が高率に認められ,肥満細胞や好酸球を主体としたリンパ球などの炎症細胞が関与する。
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