特集 輸血のすべて
Part 3 特殊な状況での輸血
12.大量出血:手術—フィブリノゲン値の回復・維持が治療の主軸となる
香取 信之
1
Nobuyuki KATORI
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.151-157
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120010151
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大量出血は対応が遅れると出血性ショックから心停止へと至る。出血を原因とする心停止は蘇生が非常に困難で予後が不良である。やや古いデータではあるが,2013年に日本麻酔科学会のウェブサイト上に公開された「第4次麻酔関連偶発症例調査結果」*1によると,術後30日以内の死亡症例の死亡原因として,「術前合併症としての出血性ショック」が26.2%,「手術が原因の大出血(術後再出血を含む)」が16.8%と,大量出血が40%以上を占めていた。術中の大量出血への対応は非常に重要な課題であり,輸血療法を中心とした適切な治療なしに患者を救うことはできない。
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