特集 “わかったつもり”で終わらせない血液凝固異常とDIC
Part 1 病態
❹ 線溶亢進型DIC—スコアリングに加え,臨床像と線溶マーカーの動態を統合的に評価する
谷河 篤
1,2
Atsushi TANIKAWA
1,2
1東北大学病院 高度救命救急センター
2Department of Surgery, Keck School of Medicine, University of Southern California
キーワード:
組織因子
,
外因性凝固経路
,
出血傾向
,
線溶マーカー
Keyword:
組織因子
,
外因性凝固経路
,
出血傾向
,
線溶マーカー
pp.13-16
発行日 2026年1月1日
Published Date 2026/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188348330180010013
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はじめに
線溶亢進型播種性血管内凝固fibrinolysis-dominant disseminated intravascular coagulation(DIC)は,凝固系の活性化を契機に線溶系が過剰に賦活され,形成された血栓がすみやかに分解されることで著明な出血傾向を呈する病態である。造血器悪性腫瘍(特に急性前骨髄球性白血病),転移性固形がん,大動脈瘤や慢性大動脈解離,外傷,常位胎盤早期剝離や羊水塞栓症など,組織因子の大量放出を伴う疾患に合併しやすい。臓器障害が主体となる線溶抑制型DICとは異なり,血栓形成と線溶が同時に進行するため臓器虚血は軽度で,出血傾向が主体である。診断には,日本救急医学会(JAAM)や厚生労働省によるDIC診断基準などのスコアリングが用いられるが,これらは線溶活性の過剰を十分に反映しない。したがって,止血困難な出血などの臨床所見と線溶マーカーの動態を総合的に評価することが,線溶亢進型DICを正確に把握するうえで重要である。
本稿では,線溶亢進型DICの病態概念と診断の要点について概説し,臨床における病態理解の重要性を整理する。

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