増刊号 免疫反応と臨床検査2010
VI 血液
B 血栓・止血関連マーカー
5 線溶マーカー
朝倉 英策
1
,
林 朋恵
2
1金沢大学附属病院高密度無菌治療部
2金沢大学附属病院血液内科
pp.966-968
発行日 2010年9月15日
Published Date 2010/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102934
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線溶マーカーとは
組織因子(tissue factor,TF)の作用によって凝固活性化を生じると,最終的にトロンビンが形成される.トロンビンがフィブリノゲンに作用すると,フィブリノゲンはフィブリンに転換して,さらにフィブリンが重合すると血栓が形成される.この重合されたフィブリンを安定化するために,血液凝固第XIII因子による架橋結合(cross-link)が行われる.これに対して,形成された血栓を溶解しようとする働きのことを線溶(fibrinolysis)という.
線溶が開始されるためには,血管内皮からの組織プラスミノゲンアクチベータ(tissue plasminogen activator,t-PA)産生が必要である.t-PAはプラスミノゲン(肝で産生)をプラスミンに転換し,プラスミンは血栓(架橋化フィブリン)を分解する.血栓が分解された際に生ずる分解産物のことをフィブリン/フィブリノゲン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation product,FDP)〔Dダイマー(D dimer)〕という(図).t-PAおよびプラスミノゲンはフィブリン親和性が高く,フィブリン上で能率よく線溶が進行する.
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