今月の主題 前立腺と睾丸
話題
血精液症と線溶亢進
徳江 章彦
1
Akihiko TOKUE
1
1自治医科大学泌尿器科学教室
キーワード:
血精液症
,
線溶亢進
,
プラスミノゲンアクチベータ
Keyword:
血精液症
,
線溶亢進
,
プラスミノゲンアクチベータ
pp.694-696
発行日 1994年6月15日
Published Date 1994/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902006
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1.はじめに
血精液症とは精液中に血液の混入する状態をいう.出血を生ずる原因としてさまざまな疾患や病態が挙げられている(表1)1,2).しかし日常診療においては,原因疾患を見いだせず特発性と診断される場合が少なくない.出血源は全精路のいずれにも存在する可能性があるが,主として精嚢と前立腺であると考えられている2,3).近年,経直腸的超音波断層法および超音波ガイド下の精嚢穿刺術の開発4,5)により,また,最近ではMRIの応用6)により,本症では精嚢内出血の頻度が高いことが指摘されている.しかしこの場合にも炎症や腫瘍が必ずしも明確に証明されているわけではない.
精漿における線溶能の研究7~9)に始まり,前立腺や精嚢など男性副性器における線溶系の研究が多数あり10~12),これら臓器組織では線溶活性の高さが報告されている.血精液症が特発性の場合はもとより,原因疾患をある程度推定できる場合にも,その発症を線溶の面から検討することは意義があろう.
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