検査じょうほう室 生化学:臓器マーカー
凝固・線溶マーカー
雨宮 憲彦
1
,
尾崎 由基男
2
1山梨大学医学部附属病院検査部
2山梨大学医学部臨床検査医学講座
pp.1407-1410
発行日 2005年11月1日
Published Date 2005/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100172
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
検査室でよく使用されている凝固・線溶分子マーカーの項目には,表1に示すように種々あり,これらを測定する最大の理由は主に播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation,DIC)や血栓症などにおける凝固亢進状態および線溶亢進状態の診断と治療経過のモニタリングとにある.
多くの施設で実施している項目はFDP(fibrinogen/fibrin degradation products,フィブリノゲン・フィブリン分解産物)(血清t-FDP;血清FDPまたは血漿FDP)が最も多く,次にDダイマーであり,この両者で大部分を占めている.他の項目は総合病院,大学附属病院および大手検査センターの検査室あるいは研究室などで実施されているのが現状である.
臨床検査技師が凝固・線溶マーカー(特にFDPとDダイマー)を測定する際,測定値が臨床症状,採血状況,他の検査データの推移と一致しない,いわゆるアーティファクトによる異常値は再検や主治医に確認するなどして原因を追求するとともに測定値の真値を見いだすことが必要である.今回はアーティファクトによる異常値について知っておくべき注意点を述べたい.ここでは測定機器,試薬に関しては問題ないものとする.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.