今月の臨床 妊娠と血液
4.血液凝固線溶の分子マーカー
中嶋 章子
1
,
小川 俊隆
1
,
高山 雅臣
1
1東京医科大学病院産婦人科
pp.564-567
発行日 1995年5月10日
Published Date 1995/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409902113
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妊娠時には各凝固因子の増加(第XIII因子は除く)と胎盤局所の凝固亢進による凝固系の亢進,線溶抑制状態が認められることが知られている.これは妊娠時分娩時の出血に対する防衛機構であるが,一種の播種性血管内凝固(DIC)準備状態となっていると考えられ,一旦この微妙なバランスが崩れると急速にDICを引き起こしてしまう.この微妙な変化をより早く察知するためには,生体内での凝固,線溶系の活性化の状態を推測できる凝固・線溶系の分子マーカーの測定が有効である.凝固・線溶系の分子マーカーという言葉はここでは血液凝固や線溶の進行にともない血漿中に増加してくる凝固,線溶因子の活性化ペプチドや分解産物,酵素と阻止因子の複合体,あるいは血小板などからの細胞成分の放出物質もしくは遊離物質などを意味する.
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