増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
血液検査
血栓・止血検査
線溶活性化マーカー—FDP,D-ダイマー,PIC
朝倉 英策
1
1金沢大学附属病院高密度無菌治療部
pp.105-107
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223218
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検査の概要
組織因子(tissue factor:TF)の作用によって凝固活性化を生じると,最終的にトロンビンが形成される.トロンビンがフィブリノゲンに作用すると,フィブリノゲンはフィブリンに転換して,さらにフィブリンが重合すると血栓が形成される.この重合されたフィブリンを安定化するために,血液凝固第XIII因子による架橋結合(cross-link)が行われる.これに対して,形成された血栓を溶解しようとする働きのことを線溶(fibrinolysis)と呼ぶ(図1).
線溶が開始されるためには,血管内皮からの組織プラスミノゲンアクチベータ(tissue plasminogen activator:t-PA)産生が必要である.t-PAは,プラスミノゲン(肝で産生)をプラスミンに転換し,プラスミンは血栓(架橋化フィブリン)を分解する.血栓が分解された際に生ずる分解産物のことをFDP(D-ダイマー)という.t-PAおよびプラスミノゲンはフィブリン親和性が高く,フィブリン上で能率良く線溶が進行する.
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