特集 心原性ショック診療:エビデンスに基づく最適化への挑戦
❿ 高齢者における心原性ショック—ショックチームを加えた総合的アプローチのためのエビデンス
宮下 智
1
,
渡邉 将央
2
,
絹川 弘一郎
3
Satoshi MIYASHITA
1
,
Yukihiro WATANABE
2
,
Koichiro KINUGAWA
3
1クリーブランドクリニック 循環器内科
2日本医科大学付属病院 心臓血管集中治療科
3富山大学大学院医学薬学研究部 内科学第二
キーワード:
ショックチーム
,
生理学的年齢
,
アドバンス・ケア・プランニング
,
ACP
,
機械的循環補助
,
MCS
Keyword:
ショックチーム
,
生理学的年齢
,
アドバンス・ケア・プランニング
,
ACP
,
機械的循環補助
,
MCS
pp.409-421
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188348330170030409
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はじめに
近年,世界的な高齢化の進行と心不全患者数の増加に伴い,高齢者における心原性ショックcardiogenic shock(CS)の発症が重要な臨床課題として注目されている。高齢者は,加齢に伴うリスクのみならず,複数の併存疾患やフレイル,さらには社会的背景や個々の治療ゴールといった複合的要素を有するため,治療戦略の立案が困難となる。単に高齢であるだけで積極的治療を控えるのではなく,高齢者特有の病態や治療介入の有効性に関するエビデンスを適切に把握し,加えて社会的背景や患者個人の希望・治療ゴールを包括的に考慮したうえで,最適な治療を選択することが求められる。
本稿では,高齢者における心原性ショックの疫学や治療に関する最新の知見を概説するとともに,複雑な臨床判断を支援するショックチームの役割について詳述する。

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