特集 心原性ショック診療:エビデンスに基づく最適化への挑戦
❾ LVAD導入の現実と課題:橋渡し治療からdestination therapyまで—LVADを見据えた重症心不全治療戦略
羽田 佑
1
Tasuku HADA
1
1聖路加国際病院 救急科・救命救急センター
キーワード:
機械的循環補助
,
MCS
,
左室補助人工心臓
,
LVAD
,
bridge to transplantation
,
BTT
,
destination therapy
,
DT
,
植込型LVAD
Keyword:
機械的循環補助
,
MCS
,
左室補助人工心臓
,
LVAD
,
bridge to transplantation
,
BTT
,
destination therapy
,
DT
,
植込型LVAD
pp.399-408
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188348330170030399
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はじめに
重症心不全治療において,機械的循環補助mechanical circulatory support(MCS)のアップグレードの重要性が注目されている。MCSには,大動脈バルーンポンプintra-aortic balloon pump(IABP),体外式膜型人工肺extracorporeal membrane oxygenation(ECMO),左室補助人工心臓left ventricular assist device(LVAD)があるが,特にIMPELLA®の登場により左室アンローディングの重要性が認識されるようになり,心機能障害の程度や血行動態に応じて適切なMCSを選択し,サポートが不十分であれば時期を逸さずにさらなるMCSのアップグレードを考慮することが求められるようになった。これは,本邦のガイドラインでも強調されている1,2)。さらに,植込型LVADの改良によってその適応が広がり,心臓移植までの橋渡し〔bridge to transplantation(BTT)〕としてだけでなく,2021年からは心臓移植の適応のない患者にも使用〔destination therapy(DT)〕できるようになった。このことにより,心原性ショック診療では,より出口戦略を見据えたMCSのアップグレード治療を選択することが求められている。
本稿では,まず本邦で使用できるLVADの種類について概説する。その後,心原性ショックに対してMCSのアップグレードを行い,BTTやDTでの植込型LVAD治療へと移行した症例をもとに,そのタイミングやポイントについて概説する。

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