特集 酸塩基平衡,電解質異常に挑む
Part 2 酸塩基平衡異常の原因診断を極める
⓭ その酸塩基平衡異常は補正が必要? 実際どうやって補正する?—炭酸水素ナトリウムやアセタゾラミドを使いこなす
野間 光貴
1
,
桂 欣宏
1
,
瀬尾 龍太郎
2
Mitsuki NOMA
1
,
Yoshihiro KATSURA
1
,
Ryutaro SEO
2
1神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科・集中治療部
2神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター
キーワード:
pH補正
,
代謝性アシドーシス
,
炭酸水素ナトリウム
,
代謝性アルカローシス
,
アセタゾラミド
Keyword:
pH補正
,
代謝性アシドーシス
,
炭酸水素ナトリウム
,
代謝性アルカローシス
,
アセタゾラミド
pp.107-116
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.188348330170010107
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はじめに
重症患者では,循環不全や腎障害により代謝性アシドーシスが生じる一方で,利尿薬の使用や胃管からの吸引によって代謝性アルカローシスも生じ得る。高度の代謝性アシドーシスはさまざまな有害事象を引き起こし,死亡率の上昇につながる。また,高度の代謝性アルカローシスは循環や呼吸機能に悪影響を及ぼす。これらの病態には,原疾患への迅速な根本的治療が不可欠である。
臨床現場では,原疾患の治療だけでなく,pH補正を目的として,炭酸水素ナトリウム(メイロン)やアセタゾラミドが対症療法として使用されてきたが,これらの治療法に関する確立されたエビデンスは依然として少ないのが現状である。
本稿では,炭酸水素ナトリウムやアセタゾラミドを「なぜ」「どういう状況で」「どのように」使用するべきかを解説し,さらに他の補正方法についても述べる。
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