- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
レビー小体型認知症(dementia with Lewy bodies:DLB)は,Kosakaら1)により1976年に初めて報告され,その後の精力的な研究により疾患概念が確立された神経変性疾患である。神経変性疾患に伴う認知症の中ではアルツハイマー病(Alzheimer disease:AD)に次いで多い。神経病理学的にはパーキンソン病(Parkinson disease:PD)と同様に,中枢神経系,末梢自律神経系の神経細胞や神経突起にαシヌクレインの凝集物が沈着することが明らかにされており,これが病態機序において重要な役割を演じていると考えられている。このようにPDとDLB,さらには認知症を伴うPD(PD with dementia:PDD)は同様の病態機序で発症する一連のスペクトラム上にある疾患群と考えられ,レビー小体病(Lewy body disease:LBD)と総称されている。
DLBの臨床診断は,進行性の認知機能低下に加え,4つの中核的特徴,すなわち1)認知機能の変動,2)幻視,3)レム睡眠行動障害,4)パーキンソニズムと,2017年のコンセンサスレポートで追加された3つの指標的バイオマーカー,すなわち1)SPECTまたはPETで示される大脳基底核におけるドパミントランスポーターの取込み低下,2)123I-MIBG心筋シンチグラフィ(MIBG心筋シンチグラフィ)での取込み低下,3)睡眠ポリグラフ検査で確認された筋緊張低下を伴わないレム睡眠の組合せで行われる2)。MIBG心筋シンチグラフィについては,新しいDLBの診断基準作成のために2015年に米国Fort Lauderdaleで開催された国際DLB会議で,金沢大学(現九段坂病院)のYamadaが臨床的な立場から,筆者が病理学的立場からDLBの診断におけるMIBG心筋シンチグラフィの有用性について強調したことも功を奏したと思われる(Fig. 1)。

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.

