「精神医学」への手紙
123I-MIBG心筋シンチグラフィにおける薬物の影響
山下 幸記
1
,
宮田 信司
1
,
寺田 整司
1
,
黒田 重利
1
,
田岡 秀樹
2
,
野村 晃
2
1岡山大学医学部・歯学部附属病院精神科神経科
2笠岡病院
pp.437
発行日 2007年4月15日
Published Date 2007/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100973
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近年,Lewy小体病において,123I-meta-iodobenzylguanidine(MIBG)心筋シンチグラフィ検査(MIBGシンチ)で,心筋へのMIBG取り込み低下が特異的に認められることが報告され,MIBGシンチがLewy小体型認知症(dementia with Lewy bodies;DLB)と他の認知症性疾患との鑑別に役立つことが明らかとなった2)。ただ,MIBGシンチは内服薬剤の影響も受けやすい検査であり,注意が必要である。今回,我々はmodified electroconvulsive therapy(m-ECT)を目的として入院した80歳女性で興味深い検査結果を経験したので報告する。
患者は抑うつ,自発性低下を示し,うつ病と診断され入院した。入院時の神経学的診察で寡動,筋固縮も認められ,Parkinson病(Parkinson's disease;PD)あるいはDLBも疑われたため,入院10日目にMIBGシンチを施行した。その結果,心臓/縦隔比(H/M比)はearly stage 1.85,late stage 1.42と異常低下が強く示唆された。ただ同時期に,抗うつ薬としてmianserin hydrochloride60mg/日,milnacipran hydrochloride150mg/日,降圧薬としてamlodipine besilate2.5mg/日を内服中であり,薬剤の影響も疑われたため,これらを中止した後,入院62日目に再検査したところ,early stage 2.29,late stage 1.87とほぼ正常値に回復した。
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