あとがき

　本号の特集は「精神科と脳神経内科の狭間で」です。この中で特に，機能性神経障害（FND）に関して，脳神経内科と精神科の2つの立場から書かれた点が大変興味深く読ませてもらいました。

　精神科の視点からは，この疾患の歴史的ルーツを紀元前5世紀頃にヒポクラテスが命名したヒステリーに遡り，シャルコー，フロイトと，一時は心因説が強かったことから記事を書き始めています。その後，次第に情報処理の欠陥と感情処理の異常をメカニズムとする生物心理社会的モデルに移行し，生物学的な理解が進んでいます。その結果，従来の病気という捉え方より，生物心理社会的なソフトな理解になってきています。