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プレハビリテーション
プレハビリテーションとは,「プレ」と「リハビリテーション」を組み合わせた造語で,術前に身体機能を強化することで術後の合併症予防,身体的活動性の早期自立,早期の退院をめざすリハビリテーション介入と定義されている.そこには運動療法のみではなく栄養的,心理的なアプローチも含まれることが望ましい(図)1).
手術を控えた患者は術前の身体機能,栄養状態が術後経過に影響する可能性があり,患者の状態に合わせた介入が必要となる.術後早期回復プログラム(enhanced recovery after surgery:ERAS)プロトコールにおいて,いくつかの手術についてはガイドラインにプレハビリテーションに関する項目が触れられている.結腸・直腸手術では術前に有酸素運動,レジスタンス運動,たんぱく質補給などを行うことで,術前の生理学的予備力にプラスの影響を与えることが示され,術後の身体機能も維持できることが示唆されている.とくに,術前の身体機能が低いほど身体機能の回復や術後合併症の軽減など,受ける恩恵は大きいとされる2).肝臓手術では,高齢者,栄養不良などリスクの高い患者にはプレハビリテーションを行うことが推奨されている.ただしプレハビリテーションの具体的なプログラム内容と期間については明確に確立されておらず,これは心臓外科手術でも同様である3-4).膵頭十二指腸手術では,プレハビリテーションが体組成や身体能力を最適化することが示されている.なかでも消化器大手術を受けるハイリスク患者を対象としたランダム化比較試験(RCT)では,プレハビリテーションが有酸素能力を向上させ,術後合併症が減少することが報告されている.その効果を発揮するためには手術の3~6週間前にプレハビリテーションプログラムを開始することが望ましいとされる5).
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