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教育講座
脊髄損傷治療へ向けた再生医療とリハビリテーション医療—さらなる併用療法
Regenerative Medicine and Rehabilitation for Spinal Cord Injury : Further Combinatorial Treatments
田代 祥一
1,2
Syoichi Tashiro
1,2
1慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
2杏林大学医学部リハビリテーション医学教室
キーワード:
移植
,
細胞治療
,
神経栄養因子
,
慢性期
,
瘢痕
Keyword:
移植
,
細胞治療
,
神経栄養因子
,
慢性期
,
瘢痕
pp.398-403
発行日 2024年5月18日
Published Date 2024/5/18
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はじめに
国内の脊髄損傷の年間発生件数は約6千人,罹患者数は15万人といわれている.その要因は交通事故や転落,スポーツ外傷などで,若年層に比較的好発するものの,近年では高齢者の転倒などの軽微な外傷を契機としたものが増加している1).不可逆性変化を生じた脊髄神経に対する根本的治療法に確立されたものはなく,実地における治療の主体はリハビリテーションに依らざるを得ない部分がある.
幹細胞を用いた再生医療は,脊髄損傷後遺症に対する革新的な治療法である.神経幹/前駆細胞(neural stem/progenitor cells:NS/PCs),間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell:MSC),嗅神経鞘細胞(olfactory ensheathing cells:OECs)など,さまざまな細胞種を用い,主に急性期・亜急性期において治療効果が報告されている.慢性的脊髄損傷は,瘢痕形成に代表される難治性機序を呈し細胞治療の効果が限定的となること,可塑性が低下するため移植細胞に由来する代替経路が形成されづらくなることから,リハビリテーションや薬物治療との集学的治療が重要である2).

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