特集 「発達障害」は当事者に聞け! 新時代の「知」を切り開く人たち
—ジャンルをゆうに超えて—「困りごとでつながる」がひらくフロンティア
鈴木 大介
pp.16-19
発行日 2024年1月15日
Published Date 2024/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689201226
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カルテに書かれた「注意障害」の四文字
8年前、41歳で脳梗塞をおこし、後遺症として高次脳機能障害の診断を受けた。発症直後、自身を取り巻く世界が何もかも壊れてしまったような激しい違和感の中で、まず立ち上がったのは「これは後天的な発達障害(特に自閉特性)のようではないか」という問いだった。
目や耳から、周囲のあらゆる環境情報が脳に強制侵入し、そのあらゆる情報の意味を読み取ろう、理解しようとするのを、脳がやめてくれない。ひとたび注意をひくものに視線が向くと、強力な接着剤で固定されたように、自力で視線をはがすことが難しい。何かを伝えようとする気持ちや頭の中にある情報からも注意がはがれず、ろれつの回らぬ口で止めどなく話す自身の異様な言葉ですら、自力で止められない。
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