連載 訪問看護 時事刻々
今月の話題 メディカル・フロンティア
石田 昌宏
1
1日本看護協会政策企画室
pp.231
発行日 2001年3月15日
Published Date 2001/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688901285
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「メディカル・フロンティア戦略」をご存じであろうか。平成13年度の国家予算案のなかで,総額303億円が計上されているこの戦略のお題目をみると,「豊かで活力ある長寿社会を創造することを目指して,働き盛りの国民にとっての2大死因であるがんおよび心筋梗塞,要介護状態の大きな原因となる脳卒中,痴呆および骨折について,地域医療との連携を重視しつつ,先端的科学の研究を重点的に振興するとともに,その成果を活用し,予防と治療成績の向上を果たすための総合的戦略」とある。最近の保健医療福祉関連の予算は,介護保険創設やゴールドプランといった,要介護状態になった人へのサービスの充実がメインテーマだった。しかし,さすが21世紀,今後は「要介護状態の予防」に対して目が向いたわけだ。
具体的な内容をみてみよう。まず「ゲノム科学やたんぱく質科学を用いた治療技術・新薬等の研究の推進」に198億円が計上されているのが目立つ。がんや心筋梗塞,脳卒中,痴呆,骨折などに対するゲノム,再生医療,たんぱく質科学,医用工学といった先端研究を推進するための研究費が中心だ。遺伝子の差異に注目した個別性に対応した薬,電気をつかった治療法など,従来にはない画期的な治療法が開発されたり,クリティカルパスなど効率的な医療提供のしくみが提案されたりすることだろう。また,痴呆疾患と骨折に関しても多角的に予算が配分されているのも気にかかる。
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