連載 アメリカ母子保健活動の金字塔【新連載】
メアリー・ブレッキンリッジとフロンティア・ナーシング・サービス①
Nancy Dammann
,
小玉 香津子
1
,
尾田 葉子
2
1神奈川県立衛生短期大学
2日本看護協会
pp.324-332
発行日 1989年4月25日
Published Date 1989/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207603
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連載にあたって
アメリカ合衆国ケンタッキー州レキシントン空港から田舎道を2時間も走ると,ウエンドーバーにあるフロンティア・ナーシング・サービス(FNS)の本部,丸太組みのビッグ・ハウスに行きつく。その先もっと山あいの人家もまばらなところには,FNSのナース,プラクティショナーが犬をお供に詰めているクリニックがいくつか点在する。そしてビッグ・ハウスのあるところよりは開けたハイデンという町に,メアリー・ブレッキンリッジ・ホスピタルと,石造りの旧病院で現在の助産婦学校がある。
メアリー・ブレッキンリッジ・ホスピタルとフロンティア・ナーシング・サービスを訪ねるために空港に降り立った人は,FNSからの迎えの車の運転手が,片耳にイヤリングをぶらさげた16,7歳のハイスクール・ボーイであることに一瞬驚かされるかもしれない。馬に乗って助産婦が巡回していたころ(1960年代の初めまでそうであった)から,クーリエと呼ばれる人たちが,馬の世話と人や物の運搬を受け持ち,FNSの活動の土台を支えてきた。現代のクーリエは,ボランティア活動の単位取得のために1か月FNSに住み込んでいる高校生であったり,エール大学の助産婦修士課程が始まる季節まで時間が空いているという看護婦だったりするのだ。
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