特集 増える児童思春期のニーズに応える 「それって看護?」が勘所
—各論 「訪問看護」で応える—“遊び”と児童への訪問看護
塩見 祐子
1
1訪問看護ステーションナンナル
pp.408-411
発行日 2023年9月15日
Published Date 2023/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689201177
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はじめての訪問看護
私は、看護師として病院に勤務してきたほとんどの時間、子どもとその親に関わってきました。自分のやりたいことは何なのか、何ができるのか、悩んでいる時に上司のアドバイスもあって小児救急看護認定看護師の資格を取得しました。看護研修学校では全国から集まった仲間と、勉強も勉強以外にも楽しいことがたくさんあり、充実した日々でした。しかし自分の不勉強さを再認識する機会でもあり、それはその場で解消できるものではなく、勉強をし続けていくことと、そのためのモチベーションを維持することの大変さを知ることになりました。小児救急看護認定看護師として病院内で役割が増えていましたが、コロナ禍という状況の中でそれが閉塞感として感じられ、上手に消化できなくなったため、辞める選択をしました。そして半年間、趣味で農作物を育て、収穫が終わるとともに気持ちの切り替えができて次に進みたいと思うようになりました。
病院では、病院に来てもらわないと何もできないことにもどかしさを感じていたこともあり、精神科の経験はなく、発達障害についての知識と経験もごく浅いものでしたが、挑戦する気持ちで2022年10月に病院から地域へ、しかも“児童を主にした精神科”訪問看護ステーションナンナル(以下、当ステーション)へと職場を変えました。医療的ケア児への訪問看護であれば、私のこれまでの経験の延長上で看護ができたかもしれません。しかし、小児病棟で発達障害を持つ子どもに対する柔軟な対応ができなかった経験と、その家族がとても困っていた印象がずっと心に残っていたことが決め手であったように思います。
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