特集 増える児童思春期のニーズに応える 「それって看護?」が勘所
—総論—増える児童精神科へのニーズとミスマッチに私たちはどう応えるのか
岡 琢哉
1,2,3
1株式会社カケミチプロジェクト
2NPO法人カケルとミチル
3社会医療法人聖泉会聖十字病院
pp.405-407
発行日 2023年9月15日
Published Date 2023/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689201176
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精神科医療従事者は社会に無関心ではいられない
子どもたちの心の問題にフォーカスが当たること自体は良いのですが、発達障害の問題や不登校といった「子ども」側の問題にばかり焦点が当たり、その周囲にある「大人」側の問題や、社会が必要としている変化について取り上げられることが少ないように感じます。そして、大人側の問題とされるのも、なぜか子どもの一番身近にいる家族を責める言説ばかりで、穿った見方をすれば、支援者や社会が持つ課題や構造上の問題については「見て見ぬふり」をしているようにも感じられます。
私たちが臨床で用いる精神科の診断基準では、症状や障害が「社会生活に影響を及ぼしているかどうか」を評価することが必須とされています。だからこそ、相手が子どもでも成人であっても精神科医療において社会の視点や構造の理解に無自覚であってはなりません。私たちは自分の目の前にいる患者さんだけでなく、その背後にいる家族や学校・職場の人たちといった、社会そのものと対峙する必要があります。
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