特集 多様なニーズに応える訪問看護
多様なニーズに応えるとは―訪問看護の現場で求められること
秋山 正子
1
1(株)ケアーズ白十字訪問看護ステーション
pp.256-259
発行日 2010年4月15日
Published Date 2010/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688101573
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はじめに
住み慣れた地域で,その人らしい療養生活を送るために提供される訪問看護。そのニーズは多種多様です。ことに昨今の入院期間の短縮化に伴う急性期病院からの退院の受け入れや,高齢化に伴う在宅ターミナルケア,介護保険の浸透とともに掘り出される在宅療養者の医療ニーズなど,訪問看護の現場では,そのニーズの多様さに対応する柔軟性と,新しいことへの探究心,具体的な研鑽方法が求められています。
在宅の現場では,場合によって医師より看護師が先行して判断し,ケアの内容を決め,医療処置を実施している場面もあります。
包括的指示の内容の曖昧さは,ある意味,寛容であり,ある意味,責任の所在の不明瞭さを招いていますが,訪問看護はあらゆる場面で,療養者の全体像をしっかりとアセスメントし,必要なケアを組み立てていく専門性を有しながら,この包括指示に対応します。
この専門性は,ある狭い分野に特化するかたちではなく,プライマリケアとしての総合的な判断やケアが実施できるという意味で,究極のジェネラリストといってよい専門性です。
昨年来,厚生労働省で開かれている「チーム医療の推進に関する検討会」では,チーム医療における看護師の役割について,従来の考え方から拡大されたかたちで議論が進められています。検討会の委員のひとりとして,訪問看護の現場から「在宅医療におけるチーム医療の実際」をプレゼンテーションした経験をふまえ,多様なニーズに応えるということはどういうことなのかを考えてみます。
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