特別記事 アルコール依存症と訪問看護
「本人の意思」と「命のリスク」をどう考えるか
説得する/受け入れる関係から脱却し、共同意思決定がなされたケース
崔 明玉
1
1訪問看護ステーションみのり
pp.345-347
発行日 2023年7月15日
Published Date 2023/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689201157
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アルコール依存症、在宅支援で感じる困難さ
私は精神科訪問看護師として勤務しはじめ、もうすぐ7年が経とうとしています。これまでアルコール依存症を持つたくさんの利用者さんと出会い、そして少なくない別れを経験してきました。その「別れ」の多くは、アルコールによって命を奪われたケースです。アルコール依存症は慢性の病気、進行性の病気と言われており、さまざまな身体合併症、事故、自殺などに至る死亡率の高い病だとされています。私の経験からも、科学の知からも、アルコール依存症は「死と隣り合わせ」と言って過言ではありません。
そんな「死と隣り合わせ」の病を持つ利用者さんに対し、どうすればなるべく安全に在宅での支援ができるだろうかと葛藤してきました。当たり前ですが、支援に正解はありません。でも、試行錯誤の末「最善を尽くし、一歩前に進めたのではないか」と感じるケースがあったので、ご紹介させていただけたらと思います。
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