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特集 高齢化社会の腎泌尿器疾患診療UpToDate
各論―高齢者の腎代替療法
高齢者の共同意思決定(SDM)
snared decision making among older adults
小松 康宏
1
KOMATSU Yasuhiro
1
1群馬大学医療の質・安全学講座
キーワード:
多疾患併存(multimorbidity)
,
高齢者(older patient)
,
共同意思決定(shared decision making)
,
アリアドネ原則(Ariadne principle)
Keyword:
多疾患併存(multimorbidity)
,
高齢者(older patient)
,
共同意思決定(shared decision making)
,
アリアドネ原則(Ariadne principle)
pp.733-737
発行日 2023年5月25日
Published Date 2023/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000726
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はじめに
医学情報と患者の価値観,選好に基づき,医療者と患者が協働して,患者にとって最善の医療上の決定を下すという共同意思決定(shared decision making:SDM)は,複数の選択肢がある場合の意思決定プロセスとして理想的であり,多くのガイドラインや学会がその実践を推奨している1)。前立腺癌や乳癌,末期腎不全など単一疾患に対する治療選択では,広く実践が進みつつあるものの,複数の疾患,問題を有する高齢者に対するSDM実践には,多くの課題がある。医学情報を提示する段階で,既存のエビデンスやガイドラインをそのまま適用することはできないし,治療方針の決定を医師に委ねたいと思う高齢者も多い。複数の疾患をもつ高齢者の治療法決定は,迷宮の中をさまようかのような面もあり,基本的指針として,アリアドネ(Ariadne)原則や米国老年医学会指針が提唱されている2~4)。本稿ではこれらの原則をも踏まえてSDMの理論と実践手法を概説する。
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