特集 精神科治療、この10年で覆った常識とは
“不要な神話”を手放した人たち
—幻聴・妄想という症状を看る視点を手放す—オープンダイアローグと訪問看護—あるがままの「その人」に出会うために
三ツ井 直子
1
1一般社団法人つづく 訪問看護ステーション・シナモンロール
pp.14-17
発行日 2023年1月15日
Published Date 2023/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689201078
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ずっと探してきた人道的な取り組みが北欧・西ラップランドに
対話主義が“人と人”の“あいだ”に定着し、はなすことときくことをわけて、声が重なり合っていく—そんな取り組みを継続している地域が、この地球上には存在する。
フィンランドの西ラップランドの小さな町、トルニオ川の向こう岸の雑木林の奥にその病院はあった。1980年代、フィンランドの長期在院者の地域移行を含めた医療改革の時代に、後にオープンダイアローグと名付けられたその取り組みは始まった*1。長期入院患者さんで満床だった当時の病院の中で、「精神の病とは何か?」という問いを見つめなおし、入院患者さんの声を聞き、家族を招いて、自分自身も同じ場所にともにあり、内なる思いを言葉にしていった医療者たちがいた。
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