連載 武井麻子のOh!それみ〜よ・13
『病気じゃないからほっといて そんな人に治療を受け入れてもらうための新技法LEAP』—ザビア・アマダー著 八重樫穂高・藤井康男訳 星和書店
武井 麻子
1
1日本赤十字看護大学
pp.470-474
発行日 2017年9月15日
Published Date 2017/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200398
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「病気じゃないからほっといて」という人と理解し合うには
精神看護に関心のある読者の興味を引きそうな小説や映画を紹介するという趣旨で始まったこの連載では、看護の仕事に直接役立つ専門書、とくに“ハウツー”的な内容の本を紹介することは、これまでほとんどなかった。だが、今回、ちょっとその路線から外れて、臨床に役立つコミュニケーション技法を紹介する専門書を取り上げる。
この本を選んだ理由は、著者ザビア・アマダーが米国コロンビア大学の教授を歴任した臨床心理の専門家であるだけでなく、長年、「病識のない」統合失調症をもつ兄とのかかわりに悩み続けた当事者家族だからである。そして試行錯誤の結果たどり着いたのが、この本で紹介されるLEAPという技法だ。なんと、表紙の写真は「病気じゃないからほっといて」と憤然と家を出ていった時の、兄の後ろ姿なのである。文中にも、この兄とのやりとりが他の具体的な事例と共にたびたび挿入されている。
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