特別記事
認知症の「見立て」能力を育成するための協調学習会を開催
石川 翔吾
1
,
上野 秀樹
2,3
,
竹林 洋一
4
1静岡大学大学院 総合科学技術研究科
2千葉大学医学部附属病院 地域医療連携部
3敦賀温泉病院
4静岡大学 創造科学技術大学院
pp.452-457
発行日 2017年9月15日
Published Date 2017/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200394
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地域に貢献したい人に学びを
地域では多くの人が認知症に対して不安をかかえている。一方で、活力ある地域をつくるために地域に何か貢献したいという強い想いをもっている人も多い。そのような地域住民の強い想いを学びにつなげることで、認知症であってもその人らしく暮らせる地域を実現することが可能になるのではないだろうか。
このような観点から筆者らは、市民参画型の「みんなの認知症情報学(citizen informatics for human cognitive disorder)」を推進し、2016年秋から福井県若狭地区で、認知症支援の高度化のための「見立て」の協調学習と「見立て知」の構築に取り組み始めた。認知障害にかかわる幅広い対象を支援することを想定しており、認知症をその中核に据えて学ぶ場である。「認知」というレッテルを貼るのではなく、その人らしく生きるということまで含めて状態を「見立てる」本アプローチは、精神看護との親和性も高い。学習環境を普及させていくためには、情報を集約し認知症の見立て知として表現できる情報学の役割が大きい。情報学・人工知能学を活用し、学びを科学しながら、市民と共に学びを育む環境を醸成させたいと考えている。
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