特集 “精神看護”という、一見外側からは見えにくい学問を、学生にどうやって教えるか。
精神看護専門看護師実習をACTで。この実習は自分にどう影響したか
山本 智之
1
1ちはやACTクリニック
pp.334-336
発行日 2017年7月15日
Published Date 2017/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200376
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
ACTの衝撃
⦿「いつか地域で」という思いに火をつけてくれた本
筆者がACTという言葉を初めて知ったのは、『こころの医療宅配便 精神科在宅ケアの事始』(2010)*1という本である。これは京都市でACT-Kを立ち上げたたかぎクリニックの院長・高木俊介氏が、ACTの立ち上げから支援の実際まで、現場で奮闘するスタッフの活動を記録したものであり、病棟で勤務していた自分にとっては衝撃的な内容であった。
当時の筆者は、長期入院患者の退院支援やアルコール依存症患者の看護を中心に携わり、そのなかで長期入院患者が退院できた時の喜びや、アルコール依存症者が退院後も断酒を継続し回復していく姿を見て、精神看護のやりがいや楽しさを見出していた。だがその反面、再入院も多く、そのたびに憤りや無力感を感じ、自分自身の看護に自信がもてず葛藤していた時期でもあった。
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.