連載 愛か不安か・6
感謝されてこその精神科医療、といった図式が成立しない難儀さについて
春日 武彦
1
1成仁病院
pp.400-405
発行日 2016年7月15日
Published Date 2016/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689200257
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感謝されない。それが精神科
笑顔を取り戻した患者さんたちの姿、「おかげさまで」と嬉しそうに発せられる感謝の言葉、それがわたしたち精神医療に携わる者にとっての「元気の源」なんです♡と、そんなことを言える人はハッピーだと思う。頻繁に「元気の源」が供給されているからこそ口にできる言葉に違いないのだから。
治したという達成感を求めて精神科で働くのは、得策ではない。ましてや患者に感謝されることを期待して精神科医療に携わるのは、見当違いだと思う。いや、そもそも医療者に「治してもらった」と患者に思わせるようではマズイ、自分の力で治ったと思えるように持って行かなければ駄目である、といった意見すらある。
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