書評
「行って見て聞いた 精神科病院の保護室」
今村 弥生
1
1松沢病院・精神科
pp.93
発行日 2013年11月15日
Published Date 2013/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101246
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
サービスの本質は、隠れた所にこそあぶり出される
本書はタイトルが示す通り、著者が一精神科看護師として、見学可能な日本の精神科病院に足を運び、保護室の構造、あり方を研究した労作です。大判の本の大きな帯には、中井久夫先生からの「こんなにきめ細かな保護室の記録は、世界に例がないんじゃないか?」とのコメントがあります。確かに、「写真で見る保護室」の章において、全国35か所の精神科病院で撮影された大量の資料写真が配置され、詳細に解説されている様を見ると、建築関係の本に近いような印象です。しかし、単なる保護室のカタログに留まらず、著者による各保護室の印象記や、各施設の看護師による意見(自施設の保護室の良い点、改善すべき点)も記されており、それが最終的に「保護室における生活の援助とは」という著者の意見に結び付きます。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.